色々な試合を観戦しに行っていると、試合開始10秒程度で一本負けしてしまう人って意外と多く見ます。
特に中学生以下の試合を見に行くと、1回戦に限って言え結構な試合が1分以内に決着がついている様に感じます。
その様な試合を見ていると、負けている側の人は共通して同じ問題がある様に見えてしまいます。
早く決まる試合は単純に相手が強いという事もあるのですが、それでも1分以内に負けるにはそれなりの理由が有ります。
その理由は何なのか。負けるにしてもいかに善戦するかという方法を書いていきたいと思います。
もし自分がすぐに負けてしまうけれども理由がわからないという方や、今以上に強くなるには何が必要か悩んでいる方は是非読んでみてください。
ファーストインパクトで負けてしまう人の共通点
柔道の花形である立ち技での一本勝ちを狙っていく場合、一番大切なものは何だと思いますか?
一撃で仕留められる必殺技を持つ事ですか?それとも勢いで技をかけ続ける事ですか?
答えはNOです。
柔道マンガ等を見ていると、必殺技的な物を持っている人が強いとされていますよね。
それは確かに必殺技が無いよりは有る方が良いに決まっていますよ。しかしもっと重要な事があって、それをおろそかにしていれば折角の必殺技も何の役にも立ちません。
テレビで柔道の試合をしていたら、『○○選手の代名詞は一本背負いです!』という様な事を言っていますが、あれはあくまで柔道経験のない人に向けたメッセージですので、柔道経験のある人は別の所を見てくださいね。
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すぐに負ける人は間違いなく組手が下手
私が柔道をする上で最も大切だと思っている事は組手です。
他の選手よりいくら力が強くても、いくら切れる技を持っていても組手が下手だと試合で勝つ事は出来ません。
1分以内で負ける人は得てして組手が下手だと私は言い切ります。そして切れる技を持っているのにも関わらず、中々試合を決められない人もまた組手が下手だと言い切ります。
柔道経験者なら間違いなく知っていると思いますが、組手は最も重要な技術です。守るも攻めるも組手が出来ていなければ何もする事はできません。
試合が始まってすぐに負ける人は、試合が始まった瞬間から相手に良い組手を取られているという事です。
私の経験上一番やりやすかった相手は、何も考えずに試合開始直後から釣り手と引手をまっすぐ取りに来る人でした。
こちらは当然相手に良い組手を取らせる気は一切ないので、出してきた釣り手と引手を自分にだけ有利な形で掴みますよね。そうなれば試合は決まった様なもんです。
組手を制した者が試合を制すという事をまず知っておいてください。
組手が大切な理由
先述の通り組手で負けると試合に勝つのが難しくなるので、組手が大切だという事は理解して頂けると思います。
しかし組手で勝つという事には、もっと重大な意味が隠されているという事を知って頂きたいのです。
組手で勝っているという事は、相手は確実に『こいつやりにくいな…』と思っています。その様に感じるという事は、相手が自分に対して苦手意識を植え付けていけるという事になります。
試合時間が経過すればするほど、相手にプレッシャーがあたえられ、心理的にも試合を有利に進める事ができるのです。
仮に別の試合で当たった時には、試合前から『こいつ苦手な奴だ』と思わせる事ができるので、試合開始前から有利な状況に立つという事が可能になります。
あっという間に負けない為ではなく、試合に勝つ為に組手は研究しなければいけません。どんな状況にあっても組手で勝てる技術を身に着ける方が得意技を磨き続けるより勝利への近道となります。
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俗に言われる正しい組手の取り方
柔道を誰かに教えてもらっていたり、本などを読んで勉強している場合でも、相四つ組手の基本は引手からと言われる事が多いのではないでしょうか。
確かに私も引手から取りなさいと教えて頂いたし、指導する時も引手から取るのが正解だというニュアンスで伝えています。
しかし、それなりに柔道を経験したら気付くと思うのですが、組手争いで引手から取るというのは実力の差がないと難しいと思いませんか?
ある程度経験を積んだ人は組手の基本の基本は忘れてもらっても問題ありません。
何故なら実際は掴めないからです。
相手も強くなってくればくるほど組手争いは厳しいものになるのは理解できると思います。
そんな状態で『引手から取れ!』と言われても最早無茶です。そんなにうまい事出来るなら苦労はしませんよね。
しかし、やはり引手から取った方が有利に試合を進める事ができるので、出来る事ならば引手から取りたいという想いは有ると思います。
シィ坊的引手から組手を取る方法
これはあくまで私のやり方ですし、それを文章だけで書くという無謀な事をするので、これを読んで理解するには想像力を通り越して妄想力が必要になってくるかもしれませんが、頑張って妄想してみてください。因みに私は右組で、相四つを想定して書かせて頂きます。
- 自分の引手(左手)で相手の右襟を掴む
- 相手に引手を取らさない様に時計周りで動く
- 大抵の場合相手は釣り手を仕方なしにとって来るので取らせてあげる
- 相手の釣り手の手首を右手で掴んで、同時に引手も自分の得意な位置を取る
- 前屈姿勢になって、勢いをつけて上体を上げると同時に両手で自分の襟に沿って相手の釣り手を引き下げる
これで引手を取る事に成功します。あくまで私の経験上ですが、これはかなりの高確率で成功します。変に釣り手を引きちぎろうとしても握力の都合で難しい場合がありますが、襟に沿って引き下げるという形をとれば、現役当時100kg以上の握力があった私も滑って下に下がってしまいました。
ポイントは自分の襟に沿って相手の釣り手を引き下げるという所です。
因みにですが、大抵の場合相手の釣り手の手首を掴んだ時点で相手に引手を取られるという結果になります。ですので、相手の釣り手を引き下げる作業は出来るだけ早く行って、成功したらすぐさま右手で得意な場所の襟を取りに行ってください。
文章で書いているので異常なほどわかりにくいとは思いますが、テキスト系ブログではこんなもんですので、頑張って想像してみてください。
因みにですが、この一連の流れはとても早く行われています。体に染みつかせるためにも普段の乱取りから常にやっておく事をお勧めします。
この形の失敗パターンは3の相手に釣り手を取らせてあげる時に、奥襟を取られた時です。
奥襟を取られたら引き下げ様がないので、絶対に奥襟を取られない様にして前襟を取らせてください。
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奥襟を取られた時の対処法
奥襟を取られてしまっては今後の展開が不利になりやすいので、一目散で切ってください。
しかし奥襟を取られたら厄介ですよね。実際切りにくいし、下手に動いて頭を抜いてしまったら反則なので、ろくな事がありません。
私が今から書く方法は基本的にオススメ出来ません。下手をすると防御姿勢で反則を取られる可能性も有ります。試す試さないは自己責任でお願いします。
- 頭を下げて相手の釣り手が自分の頭の真上に来るように動く
- 自分の引手はそのままキープしておいて、右手で手首付近を握る
- 背筋を利用して上体を起こしながら両手で引きちぎりにかかる(頭を抜かない様に注意!)
- 背中が出るくらい伸びれば頭を戻して前襟くらいの場所まで釣り手を持ってくる
3の時点で切れれば問題ありませんし、無理でも前襟くらいの位置に釣り手を下げる事が可能です。
ポイントは相手の釣り手の手首あたりが自分の頭の天辺に来るように調整して、間違えても頭を抜かないという事です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。多分世界で一番わかりにくい組手の取り方のお話でしたが、経験者なら多少はわかっていただけるのではないかと信じています。
何より今回のテキストで理解して欲しいのは、負けない為にも勝つためにも組手が一番重要であるという事と、出来るだけ早く強くなるには組手が重要だという事です。
普段の練習から組手を意識して練習していれば、おのずと技も出せる様になります。相手よりも早く自分の形になれる様に何度もイメージしながら練習して、組んだらとにかく何でも良いので技を出してみてください。
しかし技を出すのもちゃんと出さないと返し技で負けてしまうので、何を出しても良いけれど、適当な技を出すのは無意味ですのでやめてくださいね。


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